今回は50歳以上の方が特定の条件を満たすことで取得できるリタイアメントビザ(ノンイミグラント-O)について解説します。
リタイアメントビザの取得は「日本で取得する方法」と「タイで取得する方法」の2つの方法があります。
本記事では「タイで取得する方法(バンコクのチェーンワッタナー)」に限定して取得手順、必要書類や注意点などを解説していきます。
目次
リタイアメントビザ取得のための条件と準備事項
リタイアメントビザを取得するためには以下の条件を満たすことやいくつかの事を準備する必要があります。
①満50歳以上であること
②パスポート(有効期間が6ヶ月以上あり、査証欄の余白部分が2ページ以上あるもの)
※ビザはパスポート記載の有効期限を超えて付与されることはできないので、有効期限を確認の上、必要であれば最初にパスポートの更新などをおこなってからビザ申請することをおすすめします。
③タイ現地の居住物件
④タイの電話番号
⑤タイの銀行口座に80万バーツ以上の預金
※80万バーツは日本からハンドキャリーで持ってくるケースが多いです。
※ハンドキャリーで持ち込む場合、日本出国時とタイ入国時にそれぞれ空港にて税関申告が必要です。タイ入国の際に赤色の税関申告カウンターで外貨持込証明書の発行を受け(課税はされません)、ビザ申請時にコピーを提出します。
※資産証明は80万バーツ以上の預金以外にも公的年金受給証明で行う方法もありますが、本記事では省きます。
※多額の資金のため、運搬の際はご注意ください。
リタイアメントビザ新規取得の流れ
リタイアメントビザを取得する際のパターンで最も多いのが、一旦ノービザでタイへ渡航して取得する方法です。以下、ノービザでタイへ渡航してバンコクのチェーンワッタナー入国管理局でビザを取得する際のステップです。
Step1. ノービザでタイへ渡航
従来、日本国籍者はビザなしの場合は30日間のみ滞在可能となっていましたが、2024年7月15日から滞在可能期間が60日間に延長されました。
Step2. 賃貸契約を行い契約書やTM30の控えを取得
賃貸契約を進める手順は以下の通りです。
1. 仲介会社や物件紹介サイトで物件探し(住む人数、希望エリア、予算感などを考慮しながら検索)
2. 内見(最近は仲介業者さんに物件をビデオでつなげてもらいオンラインで内見することも多いです。)
3. 契約締結(パスポートコピーの提出やデポジットの支払い等)
※賃貸契約書は全文英語またはタイ語と英語訳が一緒になっているケースが多いです。
※TM30の取得を取得を忘れないようにご注意ください。
TM30は本来物件のオーナーが手続きを行うものですが、失念していることもありますので、忘れないように仲介者にも確認をおすすめします。
Step3. タイの銀行口座に80万バーツ以上を預金
タイの銀行口座を持っていない方は新規で口座を開設する必要があります。口座開設の際にタイの住所と電話番号が必要となります。
<新規銀行口座開設に必要な書類について>
※ノービザの場合の口座開設は開設目的などによって銀行側で開設可否の判断をされることが多いです。事前に開設目的と開設する際の必要書類などを銀行に確認することをおすすめします。近年、新規の口座開設は段々と厳しさを増しており、状況によって対応が異なることがありますので、しっかりと最新情報を確認することをおすすめします。
※参考までに口座開設時にはパスポート、運転免許証、在タイ日本大使館発行の在留届出済証明などの提出を要求されることが多いようです。(銀行に要確認)
<参考>
https://www.krungsri.com/jp/japan/how-to-open-account
※在タイ日本大使館発行の在留届出済証明の発行には3~4営業日、銀行側で開設可否の判断にも数営業日かかることを見込んでおくことをおすすめします。
<銀行の参考情報>
タイ・バンコク市内で日本語対応窓口がある銀行
バンコク市内には日本語対応窓口がある銀行が2行あります。バンコクでの口座開設や各種手続きなどを行う際に言語面で不安がある方には日本語窓口の利用をおすすめしています。
<預金口座を変更すると面倒>
リタイアメントビザを長期に渡って更新していく際に、80万バーツの預金口座を変更すると後々更新の際に追加書類などが必要になることがありますので、原則最初の預金口座をずっと使用して残高証明口座として使用していくことをおすすめします。
Step4. イミグレーションにて初回90日間のビザを申請
ノービザからの変更はノービザの滞在残存期間が15日以上ある必要があります。ビザ申請時は以下の項目を準備してイミグレーションへ向かいます。
①パスポート原本とコピー(顔写真ページ/タイ入国時にスタンプを押されたページ)
②申請用紙(TM87:イミグレーションで入手可能)
※TMとはタイ語のTor Mor(トーモー)という言葉で”イミグレーション”という意味です。
※TMにはいくつか種別番号があり、TM87はノービザからの申請用フォームのことです。
※記入の際は青のボールペンで行いますので、ボールペンの持参をおすすめします。
※TM87のフォームはこちらからダウンロードで取得することも可能です。
https://bangkok.immigration.go.th/en/downloads_en/
③申請用紙に貼る用の写真1枚(4×6cm事前準備または当日イミグレーションの地下フロアの店舗で撮影可能)
※写真撮影は約100THBほどかかります。
④預金通帳原本とコピー(氏名や口座番号が記載されているページと記帳ページ)
⑤残高証明(イミグレーションの地下フロアの銀行にて申請日の当日に取得)
※残高証明を取得する前に当日一度少額入金を行い、通帳残高の日付を申請日時点での最新状態に更新してから残高証明や記帳ページのコピーをすることをおすすめします。コピーはイミグレーションの地下フロアの店舗でできます。
※残高証明取得手数料として100THBほどかかります。
※預金は連名口座や2つ以上の口座合算は不可となります。
⑥外国送金証明(ハンドキャリーの場合は外貨持込証明書のコピーと両替証明)
⑦賃貸契約書原本と全ページのコピー
⑧TM30(賃貸契約時に取得)
※デポジットと初月の家賃を支払った際の支払い証明書も念のため持参をおすすめします。
⑨タイの電話番号
⑩手書きまたはGoogle Mapの自宅の地図(最寄り駅から自宅までの簡単な地図)
⑪申請料金2,000THB
※タイには以前TM6という出国カードと呼ばれているものがあり、リタイアメントビザ申請時に必要でしたが、廃止されたため、2022年7月1日以降に入国した方は不要です。
<チェーンワッタナー入国管理局の位置情報>
・政府総合庁舎B棟(Building B)の2階(Gate2)
(The Government Complex Building B)
・営業時間
平日8時30分~12時 / 13時~16時30分(最終受付15時30分)
・Grabタクシーで行く場合
Immigration Bureau 2nd Floor Chaeng Watthana Civic Center (Building B)
・Google Map
<チェーンワッタナー入国管理局内の情報>
地下フロアには大手銀行の支店があります。バンコク銀行、クルンシー(アユタヤ)銀行、カシコン銀行など日本の方がよく使っている銀行の支店があります。
また、写真撮影やコピーができるお店も入っています。食堂や飲食店なども入っていますので、お昼をまたぐ際も食事には困りません。
イミグレーションは12時~13時は昼休憩となり、すべての手続きが一時ストップします。
<申請後は約2週間後に再訪>
書類が無事受理されたら再訪日の日付が記載された領収書を受け取ります。
再訪時に必要となりますので紛失しないようにご注意ください。チェンワッタナーの場合、再訪日は約2週間後に指定されます。また、再訪日までの期間中に居住確認されることがあります。
<居住確認とは>
リタイアメントに限らず、タイではビザを取得したり更新したりする際に本当に居住しているのかを確認されることがあります。事前に電話がかかってきて部屋にいる日時の確認を行い、オフィサーが当日確認に来ます。全員に行っているわけではなく、ランダムに行われているようです。
Step5. 初回90日間のリタイアメントビザ受け取り
以下のステップでリタイアメントビザを受け取ります。
・イミグレーションへ再訪
・パスポートと領収書を窓口で提示
・パスポートにスタンプが押される
※90日の有効期限が間違っていないかこの時にしっかりと確認をおすすめします。
※ビザ受け取り後も銀行口座内に80万バーツ以上の残高がある状態を維持しておく必要があります。
Step6. 1年間のビザを申請
延長申請手続きは有効期限切れの30日前から手続き可能です。
<必要書類>
①パスポート(原本と顔写真ページ/ビザスタンプのページ/入国スタンプのページのコピー)
②申請用紙(TM7:イミグレーションで入手可能)
※TM7のフォームはこちらからダウンロードで取得することも可能です。
https://bangkok.immigration.go.th/en/downloads_en/
③申請用紙に貼る用の写真1枚(4×6cm事前準備または当日イミグレーションの地下フロアの店舗で撮影可能)
④手書きまたはGoogle Mapの自宅地図
⑤預金通帳原本とコピー(氏名や口座番号が記載されているページと全記帳ページ)
⑥残高証明(イミグレーションの地下フロアの銀行にて申請日の当日に取得)
※90日の申請時と同様に、残高証明を取得する前に当日一度少額入金を行い、通帳残高の日付を申請日時点での最新状態に更新してから残高証明や記帳ページのコピーをすることをおすすめします。コピーはイミグレーションの地下フロアの店舗でできます。
※預金は連名口座や2つ以上の口座合算は不可となります。
⑦賃貸契約書原本と全ページのコピー
⑧TM30
⑨申請料金1,900THB
Step7. 以後1年毎に更新を繰り返す
1年ビザが無事に取得できたらあとは1年毎に更新を繰り返していきます。ただし、預金において注意点が3点あります。
そのため、基本的には1年ビザ取得後は、口座内の資金は動かさずにそのままにしておくのが無難です。どうしても引き出しが必要な場合は上記ルールに抵触しないように気をつけてください。
リタイアメントビザの自力取得とエージェントへの依頼
既に多くの方が発信されている通り、リタイアメントビザは自力で取得することが可能です。特にタイ語や英語などが話せる方やある程度タイの慣習等を理解している方であれば個人でビザ取得を完了させることが可能だと思います。
一方、言語面で不安がある方や自力で進めるのが困難だと感じる方は、ビザ取得サポートエージェントに依頼して取得することもできますので、お困りの際はご相談ください。
ご相談に関する注意事項
タイ移住Navi(参画専門家含む)では日本で取得するタイプのリタイアメントビザ(ノンイミグラントO-A及びO-X)の取得サポートは行っておりません。予めご了承ください。
PROFILE
執筆/監修者プロフィール
佐藤裕
東京入管成田支局で特別審理官の仕事をした後、タイ永住の決意で渡航。旅行会社、企画会社、コンサルティング会社等での勤務を経て、2002年にロングステイコンサルティング社を設立。タイでのロングステイとビジネスをサポートする。
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